カメラを持って外に出よう。近所の野草編

2015年9月26日観葉その他

たまにはベランダ引きこもりから脱出して、外に生えている植物らを紹介したいと思います。うちの建物は植栽の種類が多くて、派手ではないんだけど春夏秋冬何かしら楽しめるようになっているのです。

原産地ではないので多肉やらチランジアやらは生えていませんが、たまにはこういうのもいいでしょ。いいと言ってくれなくても勝手にやりますけどね。

「編」と付けたものの違うシリーズがあるのか続くのか、我ながら続かない気がするので一気に行きます。写真多め、長めのエントリです。

セイヨウベニカナメモチ/西洋要黐

Photinia x fraseri 'Red Robin’ (P. glabra × P. serrulata)
バラ科ナシ亜科カナメモチ属、カナメモチxオオカナメモチ交配。別名レッドロビン。

難しい字を書きますね、「黐」。モチノキとかとりもちとかを表す字のようです。書き順はこちら。「黐」の書き方 – 漢字の正しい書き順(筆順)

セイヨウベニカナメモチ Photinia x fraseri 'Red Robin'

生け垣によく使われていて、新芽が真っ赤っ赤に染まるのでおなじみ。

なぜ新芽が赤いのか
新芽の鮮やかな紅色はアントシアニン色素によるものです。新芽はまだ軟らかくて弱く、強い日射しに当たると傷んでしまう恐れがあります。アントシアニン色素がサングラスのように、日射しから葉の組織を守っていると考えられています。(カナメモチとは|ヤサシイエンゲイ

キンモクセイ/金木犀

Osmanthus fragrans var.aurantiacus
モクセイ科モクセイ属モクセイ変種キンモクセイ

言わずと知れた天然芳香剤。普段はすこぶる地味で存在すらわからないことが多いが、どこにそんな生えていたのか不思議に思うほどに香りで埋まる花期。そんなものに私はなりたい。

キンモクセイ Osmanthus fragrans var.aurantiacus

「お庭にあったらいいよねえ、でも鼻が麻痺しちゃうのかな」と人に言ったら「そんなことより虫が多すぎて嫌になる」と言われました。

キンモクセイの花

この木は、私がいつも鼻面を突っ込むやつです。お世話になっております。

二度咲きが多いことでも知られるキンモクセイ。一ヶ月ほど間を空け、関東だと9月と10月の中旬ごろに咲き誇ります。そういえば近くに生えてるハゴロモジャスミンも、時期を置いて二度ばかり芳香が香ってきたことがあるんだけど、よくあることなのかな。

それはさておき。

昼にしげしげ見たことがなかったので気づかなかったんですが、キンモクセイの葉脈ってめちゃくちゃクールですよね、これ。

キンモクセイの葉脈

亀の甲羅のような模様が入っています。ご存知でした?

ベニバナトキワマンサク/紅花常盤万作

Loropetalum chinense var. rubra
マンサク科トキワマンサク属トキワマンサク変種ベニバナトキワマンサク

種小名を見てわかるとおり中国が原産。春にはピンクの紐のような花を咲かせる、とてもにぎやかな草本です。ちなみに、

属名のLoropetalumは「ひも+花弁」の意(ベニバナトキワマンサク | だんじりのまち大阪府岸和田市の樹木図鑑

とのこと。見たままです。

ベニバナトキワマンサクの新芽

ベニバナトキワマンサクには銅葉と、鮮やかな緑葉の二種類があるそうです。これは銅葉かな。とにかく新芽が美しい。

ヤブラン/薮蘭

Liriope muscari (syn. platyphylla)
キジカクシ科スズラン亜科ヤブラン属ヤブラン。別名リリオペ、サマームスカリ。

いつも植え込みで見かけるこれ、ずーーーっとリュウノヒゲ、園芸品種だか変種だかのなんとかリュウだと思っていたら、ヤブランだと知りました。ごめんねヤブちゃん。

ヤブランとオキザリスの花

野良オキザリスと共生しており、この時期にはこうしてセットで咲き誇ります。目を細める一角です。順光なのでちょっと趣きがわかりづらいですが。

ヤブランの周りには数種類の虫がラッシュのように飛び交って春のよう。

ヤブランの花粉を取らんとする虫

よーく観察すると、開花株。

ヤブランの花

あら可愛い。近接種のジャノヒゲとよく似た花弁です。

コムラサキ, コシキブ/小紫, 小式部

Callicarpa dichotoma
シソ科ムラサキシキブ属コムラサキ

ずっと「ムラサキシキブ」でごっちゃにしていたのですが、低い草本であるこちらはコムラサキという違う種なのだと知りました。Wikipediaさんによると

岩手県で絶滅、その他多数の都道府県でレッドリストの絶滅寸前・絶滅危惧種・危急種・準絶滅危惧の種に指定されている(ムラサキシキブ – Wikipedia

とのこと。こちらでは、無造作にはびこり幅を利かせています。

コムラサキ, コシキブ Callicarpa dichotoma

最初にシキブを目にしたのは、確か神代の植物会館でした。そのあと植物多様性センターで大株になっているものを見て、植物園にしかないものなのかなーと思っていたので、道路っ端のこの姿はなかなかだったわ。

ムラサキシキブ、および近似種とは樹形・大きさ、枝の垂れ方、実の付き方、葉の形状などで簡単に見分けられます。

下の写真、茎から少し離れたところにお行儀よく実が付いているコムラサキの特徴がよくわかります。これを称して「コムラサキの子離れ」というそうで。

コムラサキ, コシキブ Callicarpa dichotoma

葉の上半分にギザギザがあるのがコムラサキ。枝が垂れるのも特徴です。

コムラサキ, コシキブ Callicarpa dichotoma

もう同定は完璧ですね。

それにしてもこの実。ぶどう味の仁丹みたいで実にうまそうである。

コムラサキ, コシキブ Callicarpa dichotoma

越してきて10年になりますが、たまたまこの時期にここを通らなかったのでしょうね。この実が目についたから初めて存在を確認しました。花は気づかなかったな…。

ウキツリボク/浮釣木

Abutilon megapotamicum
アオイ科イチビ属ウキツリボク。園芸名としては属の名前でアブチロンと呼ばれたりもする。別名チロリアンランプ。

近所の駐車場を通りかかったら赤いものが見えて、思わず「え、なにこれ?」ってしゃがみこんで観察すること数分。通行人に変な目で見られたけど気にしない。

つる性の植物です。金網づたいに3メートルほど、たくましく生育していました。

ウキツリボク Abutilon megapotamicum

アオイ科。
フヨウやムクゲ、ハイビスカス、タチアオイなどが有名ですが、こいつも特有のべろーんとした形の葉っぱをしています。ほおずき様の真っ赤な帽子は萼(ガク)。花弁部分はムクゲの花でおなじみのもの。何を考えてこうなったんですかね。

これがそこかしこにわーっと垂れていて可愛らしかったのに、この日は風が強くてブレちゃって、まともに撮れたのはこれだけ。


さて上述したヤブラン。

タマリュウ…じゃないリュウノヒゲ違う…などと正体を調べているうちに、ある植物がどうしても欲しくなりました。閉店間際のホームセンターに駆け込んで衝動買いしたのがこちらです。

前にうちにいたのですが、そのうち水やりが多肉ペースになってしまい、可哀想なことをした植物のひとつ。月に代わってリベンジよ。

コクリュウ/黒竜

Ophiopogon planiscapus Nakai 'Nigrescens’
キジカクシ科スズラン亜科ジャノヒゲ属オオバジャノヒゲ 'コクリュウ’

ベランダが前よりは少しだけすっきりしたので、ところどころに置いて引き締め色にしようかと、いきの良いのを4株ばかり。コケが生えているポットを選んで持ってきました(お金を出して)。黒と緑の対比が綺麗です。

コクリュウ Ophiopogon planiscapus 'Nigrescens'

カラーリーフなどとの寄せ植えの材料に使われることが多いですが、うちは単体植えです。なにより、またベランダでこいつの花を見たかったんですよね。開花時期は終わってしまったけど、来年花をクンカクンカするんだ。

いろいろ発見があって楽しいですね、散歩。

※高解像度の写真はFlickrにアップしています。どうぞよしなに。

2015年9月26日観葉その他

Posted by 緑屋